【ソウル=甲原潤之介】ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)で29日夜に発生した雑踏事故は若者と女性の犠牲者が目立った。韓国政府によると死亡した154人のうち10~20歳代が7割超、女性が6割超を占めた。大勢の参加者が集まる大規模イベントの安全対策が議論になりそうだ。
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は31日、ソウル市庁前の焼香所を訪れ、犠牲者を弔問した。夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏と並んで黙とうし、献花した。
29日の事故はハロウィーンにあわせたイベントに大勢の若者が集まり、繁華街と大通りを結ぶ狭い路地で発生した。死者は154人、負傷者は140人以上にのぼった。
犠牲者の年代で最も多いのが20歳代で103人だった。30歳代が30人、10歳代が11人で続いた。30歳代までで全体の9割を超す。参加者が若者に集中していたことがうかがえる。
ソウル中心部では政治団体や労働組合のデモなど大勢の参加者が集まるイベントが多く開かれる。事故当日も大統領府周辺などでデモが催され、警察が交通統制して警備を徹底していた。
ハロウィーンのイベントが開かれた梨泰院は狭い路地に小規模の飲食店やクラブが立ち並び、若者の人気を集めている。広い道路で整然と行進するデモよりも人の集まり方や動き方が予測しにくい面がある。警備の盲点になった可能性がある。
犠牲者は男性56人に対し女性が98人と、女性が多数を占めたのも今回の事故の特徴といえる。
韓国メディアによると、消防当局は転倒事故で下敷きになるだけでなく「立っている状態」で犠牲になった人がいたとみているようだ。韓国紙の朝鮮日報は立ったまま四方八方から強い圧力が加わり、横隔膜を動かして呼吸をするのに必要な空間が確保できず呼吸困難に陥ったとの専門家の指摘を伝えた。
男性に比べ平均的に身長が低い女性の方が、呼吸を維持するための空間を確保しにくかったのではないかとの見方が出ている。
狭い路地に密集した人たちが異なる方向に動き、統制が取れていなかったことも分かってきた。事故現場で「ティロ・ティロ(後ろへ、後ろへ)」という声と「ミロ・ミロ(押せ、押せ)」という声が共に挙がっていたという報道もある。
事故を避けようと後ろに下がろうとする動きと、大通りに向けて早く進もうとする動きが入り乱れ、被害が拡大したとの分析もある。警察は事故原因の捜査を本格化させる。
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2022-10-31 01:57:57Z
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