成田空港B滑走路の誘導路脇にあり、三里塚芝山連合空港反対同盟北原派の農家、市東（しとう）孝雄さん（72）が耕作してきた土地（千葉県成田市天神峰）の明け渡しをめぐり、千葉地裁の執行官が15日夜から16日、この土地（約4600平方メートル）の小屋やビニールハウス、空港反対の看板・やぐらなどを強制撤去した。
市東さんは、自宅前のこの土地を借りるなどして耕作。一方、成田国際空港会社（NAA）側は、この土地を地主から購入後、2006年に期限付きで賃貸借契約解除を申し入れた。市東さんは「賃借人の同意なく転用、売買された」などと拒否。訴訟などで争ったが、敗訴した。
土地明け渡しの判決は16年に最高裁で確定。市東さんが強制執行を許可しないよう求めた訴訟も、21年に最高裁で敗訴が確定した。この土地の反対同盟の看板・やぐらの撤去などをNAAが求めた訴訟でも、東京高裁が昨年9月、NAAの請求を認めた一審判決を支持し、判決確定前でも強制執行を可能とする仮執行宣言を付していた。
市東さんとNAAは、B滑走路誘導路脇の別の土地の明け渡しをめぐっても千葉地裁で係争している。（上沢博之 上保晃平）
警察官が持っていた盾をたたいた疑い
強制執行に関連し成田署は16日、公務執行妨害の疑いでいずれも住居、職業、氏名不詳の男3人を現行犯逮捕し、発表した。2人は黙秘し、1人は「（弁解は）ありません」と話したという。
県警公安3課によると、16日午前4時半～同6時40分ごろ、それぞれ鎖や懐中電灯で警察官が持っていた盾をたたくなどし、職務執行を妨害した疑いがある。3人のうち2人は執行対象の土地に建てられたやぐらの上にいたという。容疑者の1人は「中核」と前面に書かれた白いヘルメットをかぶっていたといい、県警はいずれも過激派の活動家とみて身元などを調べる。
反対派は24時間態勢
土地明け渡しをめぐる約12時間の攻防。2人の記者が成田闘争の今を見た。
15日午前0時ごろ、記者が…
2023-02-17 07:30:01Z
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