国立研究開発法人「産業技術総合研究所」(茨城県つくば市)の技術情報が中国企業に流出したとされる事件で、不正競争防止法違反容疑で逮捕された中国籍の主任研究員・権恒道容疑者(59)が、職場のメールで中国企業と複数回にわたってやりとりしていたことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁公安部はほかに流出した情報がないかどうか捜査している。
発表によると、権容疑者は2018年4月、産総研で自らが研究に参加している「フッ素化合物」の合成技術に関する研究データを中国企業にメールで送り、産総研の営業秘密に当たる情報を漏えいした疑い。15日に同法違反(営業秘密の開示)容疑で警視庁に逮捕され、16日に同容疑で東京地検に送検された。
捜査関係者によると、中国企業は化学製品製造会社で、産総研のあるつくば市に日本代理店を置いている。権容疑者は職場のメールアドレスを使って、遅くとも事件の約1年前から中国企業側と複数回にわたってメールでやりとりしていたという。
中国企業はフッ素化学製品を扱っており、権容疑者から入手した技術情報を製品開発などに利用した可能性があるという。権容疑者は02年から産総研で勤務する一方、北京理工大学の教職を兼務するなどしており、公安部は、漏えい先の中国企業と関係を深めた経緯や、見返りの有無などについて調べている。
2023-06-16 06:00:00Z
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