ロシアのプーチン大統領は16日、露西部サンクトペテルブルクで開かれた国際会議で、ロシアの戦術核兵器の同盟国ベラルーシへの配備に関して「第1弾を移転した」と述べ、既に搬入が始まっていると明らかにした。年内には配備が完了するとの見通しも示した。ロシアが侵略するウクライナへの支援を続ける米欧各国に対し、「核の威嚇」でけん制したものだ。
事実なら、1991年に崩壊した旧ソ連を継承したロシアの国外への核兵器移転は初めて。プーチン氏は「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」で、ベラルーシへの戦術核配備について、「ロシアの戦略的敗北を考える人々が現状を忘れないようにするための抑止だ」と語った。「夏の終わりか年末までに作業は完了する」とも述べた。
プーチン氏は核兵器に関して、「ロシア領土の一体性や主権、国家存続が脅かされた場合、使用できる」と主張した一方、「現段階では必要ない」との認識も示した。ウクライナ軍が露軍への大規模な反転攻勢を進める中、米欧にウクライナへの追加的な軍事支援をためらわせる効果を狙ったとみられる。
戦術核は爆発の威力が小さく、戦場などでの局地的な使用が想定されている。ロシアはベラルーシ空軍機を核搭載可能に改修し、核弾頭の搭載が可能な短距離ミサイル「イスカンデル」のベラルーシ国内への配備を完了したとしている。
プーチン氏は3月下旬、ベラルーシへの戦術核移転を表明。ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は今月13日、露国営テレビとのインタビューで、広島や長崎に投下された原爆の「3倍の威力がある爆弾」をロシアから受け取ったと述べ、戦術核を複数の保管施設に分散配備する方針を表明していた。
プーチン氏が核兵器使用の可能性に言及したことに関して、米国のブリンケン国務長官は16日の記者会見で、「状況を注意深く監視する」と述べた。現時点でロシアが核兵器を使う兆候はないとしたほか、「米国の核態勢を変える理由にはならない」とも語った。
2023-06-17 02:18:00Z
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