2014年9月の噴火で死者・行方不明者が63人に上った
火口に近い八丁ダルミは噴火以降、立ち入りが規制されており、遺族が全域への立ち入りを認められたのは初めて。地元の長野県王滝村が避難
夫婦で登山中に妻玲子さん(当時61歳)を亡くした岐阜県各務原市の丹羽隆文さん(69)は噴火の際、2人が身を隠した岩に、玲子さんの好物のアップルパイや、当時と同じ水筒で持参したお茶を供えた。
21年には、遺族に限り八丁ダルミの一部範囲への立ち入りが認められたが、防災上の理由で、死別の場所を目の前にしながら進めなかった。この日は玲子さんを守れなかったことを謝り、「俺と帰ろう」と声をかけたという。記者団の取材に、「ずっと我慢した涙が、9年で初めて出ました」と語った。
愛知県一宮市の所清和さん(61)は、次男祐樹さん(当時26歳)と交際相手の丹羽由紀さん(同24歳)を亡くした。妻喜代美さん(61)と参加し、2人の最期の場所となった山小屋下の石垣の前に、遺品の登山靴を並べて、手を合わせた。
所さんは「やっと連れて帰ることができる。今までのもやもやが取れた」と語り、「登れるうちは毎年来ようと思う。それが私のやれる2人の供養だ」と話した。
29日には、八丁ダルミと、途中で分岐する「二ノ池トラバース」の両登山道の立ち入り規制が解除される見通し。長野県などは24、25日に、八丁ダルミ周辺で行方不明者の捜索を予定している。
2023-07-23 14:02:00Z
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