アレックス・ビンリー、BBCニュース
ウクライナで高名な戦闘機パイロットを含むウクライナ空軍パイロット3人が25日、ウクライナ北部で起きた訓練機同士の空中の衝突事故で亡くなった。ウクライナ空軍が26日、発表した。
アンドリー・ピルシュチコフ少佐は、昨年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まった当初、首都キーウ防衛線でロシア軍機を多数撃墜し、一躍有名になった。
ウクライナ軍はパイロット3人を失ったことを「痛ましく取り返しのつかない」喪失だと述べ、ピルシュチコフ少佐を「膨大な知識と膨大な才能」のパイロットだったとたたえた。
ウクライナ空軍によると衝突事故は、前線から数百キロ離れたジトミル州上空で起きた。低空飛行する訓練機L-39同士が衝突したという。飛行前の手順が正しく守られていたか、空軍は事故原因を調査している。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は毎晩定例の動画演説で、パイロット3人の事故死について触れ、「ウクライナの自由な空を守ったすべての人」をウクライナは決して忘れないと述べた。
ロシアが大量の巡航ミサイルやドローンで攻撃を重ねていた昨年秋、コールサイン「ジュース」で知られたピルシュチコフ少佐はBBCの取材に応じ、敵の攻撃を途中で迎撃する任務を負った戦闘機「ミグ29M」のパイロットとしてのプレッシャーについて話していた。
「自分の任務は巡航ミサイルを途中で迎撃し、地上の人たちの命を守り、街を守ることです。失敗すれば、誰かが死んでしまのだと、ひどい気持ちになる。数分のうちに誰かが死んでしまう、自分はそれを防げなかったと」と、少佐は語っていた。
少佐はさらに、ウクライナ空軍に入ることが自分の幼いころからの夢で、戦闘機パイロットとして働くことが自分の「任務」なのだと話した。
ピルシュチコフ少佐の友人、メラニヤ・ポドリャクさんも友人の死を確認し、少佐の空軍バッジの写真をソーシャルメディアに投稿した。
今回の衝突事故とパイロット3人の死亡は、西側の同盟国からF-16戦闘機61機の提供を控えるウクライナにとって、重大事となる。ウクライナは高性能のF-16を駆使して、ロシアに対する反撃をいっそう強力に展開しようとしている。
24日には米国防総省が、F-16に登場するウクライナのパイロットたちに9月からテキサス州で英語訓練を開始すると発表。F-16の操縦訓練は10月にアリゾナ州で始める予定という。他の西側諸国は、ウクライナのパイロットたちの訓練を今月末にも開始する予定で、準備を進めている。
F-16の操縦訓練は約5カ月かかる見通し。
アメリカ政府は今年5月、従来の方針を大きく変えて、ウクライナへのF-16供与を容認した。それまでアメリカをはじめ北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国は、核保有国ロシアとの紛争のエスカレーションにつながるとして、F-16の提供に否定的だった。
ウクライナ空軍のユーリ・イーナト報道官はフェイスブックで、ピルシュチコフ少佐を追悼し、その功績をたたえた。
「アンドリーは昨年アメリカで、アメリカ政府の関係者と会い、ウクライナ空軍が何をすぐにでも必要としているか伝えた。カリフォルニアのパイロットたちと常に連絡を取り合い、F-16の供与に関する数々の決定を推進するため、働きかけ続けたグループの中心的存在だった」とイーナト氏は書いた。
さらに、「英語が上手だったので、戦争中にたくさんの西側のメディアの取材を受けた。その際、彼にとって何より大事だったのは、会話の話題だった。ウクライナのために何を話せるか、何を話すべきか!」と報道官は続けた。
「彼がどれだけF-16を操縦したがっていたか、皆さんには想像もつかない(中略)せっかく今、アメリカの戦闘機がもうすぐやってくるというのに、彼は乗れない」
「アンドリー・ピルシュチコフは単なるパイロットではなく、素晴らしい知識と素晴らしい才能を持った若い将校だった」
「コミュニケーション能力に優れ、空軍の保有機改革を推進し、さまざまなプロジェクトに参加していた。彼のとんでもないアイディアを私はしばしば応援したし、それはどれも見事な結果を生んだ」
2023-08-27 03:14:17Z
https://news.google.com/rss/articles/CBMiJWh0dHBzOi8vd3d3LmJiYy5jb20vamFwYW5lc2UvNjY2MzE3MzLSASlodHRwczovL3d3dy5iYmMuY29tL2phcGFuZXNlLzY2NjMxNzMyLmFtcA?oc=5
No comments:
Post a Comment