国連安全保障理事会は22日、パレスチナ自治区ガザ地区における人道支援の拡大を求める決議案を採決した。ただし、イスラエルとイスラム組織ハマスに即時停戦を求めるには至らなかった。
採決をめぐっては、イスラエルを支える常任理事国アメリカによる拒否権行使を避けるため、交渉が長引き、数日にわたって延期された。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、ガザ地区への支援提供を妨げる「本当の問題」は、イスラエルによる攻撃継続だと指摘した。
国連は、戦争が続けば同地区に飢餓の危険性があると懸念を表明している。
イスラエルは10月7日のハマスによる襲撃を受けて以来、ハマス撲滅を掲げてガザ地区への大規模な軍作戦を行っている。ハマスの襲撃では少なくとも1200人が殺害され、240人以上が人質として連れ去られた。
一方、ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、これまでに少なくとも2万人以上が殺されている。
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22日に採択された決議案は、アラブ首長国連邦(UAE)が提出したもの。
採決直前には、常任理事国ロシアが即時停戦を求める内容に戻す修正案を提出したが、これは否決された。
最終的にはロシアとアメリカが棄権した。一方、他の理事国13カ国は、「敵対行為の持続可能な停止」に向けた条件を形成していくというこの案に賛成した。
決議は、「ガザ地区全域に人道的な一時戦闘停止と回廊を拡大する」ことを目的としている。
その上で、「ガザ地区全域のパレスチナ市民に対し、大規模な人道支援を即時、安全かつ妨げずに直接提供することを許可し、促進し、可能にする」ことを要求した。
また、支援分配の迅速化と合理化に向けて設立される国連機構を監督するコーディネーターの任命を求めている。
アメリカは当初、この国連機構によってイスラエルが搬入物資の検査を自ら制御できなくなると懸念していた。しかし決議では、全関係者の諮問が必要になると明記した。
ハマスは決議について、ガザの人々の人道的ニーズを満たすには「不十分な措置」だと批判。アメリカが「この決議の本質を空虚なものにする」ために懸命に努力していると非難した。
決議はまた、「全ての捕虜の即時かつ無条件の解放」を求めている。イスラエル国防軍のダニエル・ハガリ報道官は、国際社会と国際機関に対し、この決議を実施するよう求めた。
アメリカのリンダ・トーマス=グリーンフィールド国連大使は、「理事会がこの人道的危機について発言したことは心強いが、10月7日にハマスが行った恐ろしいテロ攻撃について、またしても理事会が非難できなかったことに深く失望し、むしろ愕然(がくぜん)としている」と、棄権の理由を説明した。
ロシアはこの決議案を批判するとともに、アメリカが「卑怯な駆け引き」をしていると非難した。
ヴァシリー・ネベンジャ国連大使は、この決議は「イスラエルがガザでパレスチナの民間人を殺害するための許可証」に等しいとロシアは見なしていると述べた。
パレスチナ自治政府のリヤド・マンスール国連大使は決議案の採択後、「殺戮(さつりく)」の即時停止を求めた。パレスチナは国連で、「オブザーバー国家」の資格を持つ。
マンスール氏は、「生き延びるために必死で、今や死に直面している230万人のパレスチナ人について、私たちは話し合っているのだと、誰も忘れてはならない」と述べた。
一方、イスラエルのギラド・エルダン国連大使は、安保理決議が援助に重点を置いているのは「不必要であり、現実離れしている」と批判した。
「イスラエルはすでに、必要な規模の援助物資の輸送を許可している」と大使は述べ、「国連は人質の人道的危機に焦点を当てるべきだった」と指摘した。
エルダン大使はまた、イスラエルがガザ地区に入る援助物資の検査を継続できるようにする決議を前に、数日間にわたる交渉を通じてイスラエルを支援してくれたアメリカに感謝の意を表した。
イスラエルが地上作戦を拡大、国連機関は飢餓を懸念
米ニューヨークで安保理の採決が行われている間も、イスラエルとハマスの戦闘は続いた。
イスラエルは、アル・ブレイジの住民に南に移動するよう避難勧告を出した後、地上作戦をガザ地区中部まで拡大した。ハマス運営の保健省の保健省によると、この48時間で400人近くが亡くなったという。
国連食糧計画(WFP)は、ガザ地区全世帯の4分の1、およそ50万人が「壊滅的な状況」に直面していると発表。全人口220万人が深刻な食料不足に見舞われていると指摘した。
WFPのシンディー・マケイン事務局長は、「ガザ地区にいる誰もが飢える可能性がある」と述べた。
ガザ地区には数週間前から、支援物資を載せたトラックがエジプト経由で入っているが、WFPはすでに、必要な食料のわずか10%しか供給されていないとの推計を出している。
エジプトでは現在、11月に1週間ほど行われたものと同じような休戦合意に向けた協議が進んでいる。先の一時戦闘停止では、110人の人質が解放された。
しかし、ハマスが21日に、限定的な停戦と引き換えでは一部の人質を解放しないと言ったことで、交渉は後退している。
パレスチナ人側は、イスラエルが戦争終結に同意するまで、さらなる人質解放を拒否しているという。
一方、イスラエルは永続的な停戦を繰り返し拒否している。
2023-12-23 02:56:45Z
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