ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの製油所を標的とした攻撃について、米国は不満を示しているものの、これを継続する考えを示した。追加の軍事支援がなければ、ウクライナ軍は「徐々に」後退を余儀なくされる恐れがあるとも警告した。
米紙ワシントン・ポスト(WP)のデービッド・イグナティウス氏はコラムで、キーウで28日行われたゼレンスキー大統領とのインタビューを引用し、一連の無人機攻撃はロシアによるウクライナのエネルギー網への攻撃に対する報復であり、ロシア側にこれをやめさせる取り組みの一環だと指摘した。
ウクライナ軍はここ1カ月、爆発物を搭載した無人機でロシア国内の複数の製油所を攻撃し、燃料生産に打撃を与えた。しかし、ウクライナの支援国で、選挙イヤーに国内の燃料価格が上昇することを懸念する米国にはいら立ちもあると、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は事情に詳しい関係者の話として先に報じた。
「この件に関して米国の反応は肯定的ではなかった」とゼレンスキー氏はWPに語り、「われわれはわれわれの無人機を使った。それはできないと誰も言うことはできない」と述べた。
ゼレンスキー大統領は、停滞している600億ドル(約9兆800億円)超の対ウクライナ支援法案について、米下院での早期可決を改めて要請。そうしなければ、ウクライナはロシアの軍事標的や重要インフラへの攻撃を強化せざるを得なくなるとした。
ゼレンスキー氏はジョンソン米下院議長との先の会談後、X(旧ツイッター)への投稿で、「下院内で手続きの進め方について意見が分かれていることは認識しているが、重要なのはウクライナに対する支援問題を団結させる要素として維持することだ」と記した。
支援なければ徐々に後退
ゼレンスキー大統領はWPとのインタビューで、米国に対し、長距離ミサイルの提供を求めた。それがあれば、ロシアが実効支配するクリミア半島の飛行場などの標的への攻撃を強化できるとし、「ATACM-300がその答えになる」と述べた。
「米国の支援がなければ、防空もパトリオットミサイルも電子戦用妨害装置も155ミリ砲弾もないということだ」とした上で、「これは、われわれが一歩ずつ徐々に後退していくということを意味する」とも語った。
また、ゼレンスキー氏はこの2日間で、数十年にわたりビジネスパートナーも務めてきたシェフィール大統領首席補佐官ら当局者8人を解任した。ニキフォロフ大統領報道官はブルームバーグ・ニュースへのテキストメッセージで、「大統領府人事の最適化」の一環だと説明。同様の措置が他の政府機関でも見込まれると付け加えた。
ロシアによるウクライナ侵攻が3年目に入る中、ゼレンスキー大統領はここ数週間で、軍や政府当局者ポストの入れ替えを加速している。
原題:Zelenskiy Vows Drone Strikes on Russia Despite US Dissent (1)、Zelenskiy Ousts Friend as He Continues His Team’s Reshuffle (1)(抜粋)
(情報を追加し更新します)
2024-03-31 01:07:54Z
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