イスラエル軍がラファ空爆、死傷者多数 ハマスはテルアヴィヴへ向けてロケット弾

ガザ南部ラファの火災

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パレスチナ自治区ガザ南部ラファの難民キャンプが26日、イスラエル軍による空爆を受けて20人以上が死傷したと、イスラム組織ハマスが運営する保健当局が発表した。ハマスはまた、イスラエルの主要都市テルアヴィヴに向けて同日、ロケット弾8発を発射したと明らかにした。ハマスによる長距離攻撃は1月以来。

ラファで撮影された映像では、大きな爆発が起こり激しい火の手が上がっている。

ハマスによると、イスラエル軍の空爆は、ラファ北西部にあるパレスチナ避難者らのキャンプを直撃した。同軍はこのところ人道安全地域に指定した場所で軍事作戦を実施しているが、そこからは離れている。

死者には、女性や子どももいるという。

パレスチナ赤新月社によると、死傷者の多くはラファのタル・アル・スルタン地区のキャンプでテント生活を送っていた。死者数は今後、増える見通しだという。ハマスが運営するメディアの関係者は死者は30人に上っていると述べた。

イスラエル軍は、ラファでハマスの武装勢力を狙った空爆を実施したと説明。火災が起こり、民間人に被害が出たとの報告を受けているとした。

また、この件は調査中だが、正当な標的に対して精密兵器を使ったと主張した。

ラファにおけるイスラエルの軍事行動をめぐっては、国際司法裁判所(ICJ)が24日、停止を命じた。しかし、イスラエルは続行している。

テルアヴィヴに向けてロケット弾

このラファ空爆よりも前、イスラエル・テルアヴィヴの周辺では26日、空襲警報のサイレンが鳴り響いた。ハマスがラファ付近からイスラエル中部に向け、ロケット弾による攻撃を仕掛けたためだった。

8発のロケット弾は防空システムによって迎撃されるか、野原に落下するかした。

空襲警報のサイレンは、イスラエル中部ヘルツリーヤやペタ・ティクヴァなどの都市でも鳴り響いた。イスラエル軍は、防空システム「アイアン・ドーム」がミサイル8発のうち3発を迎撃したとした。

ハマスはテルアヴィヴに「大がかりな」ロケット弾攻撃を仕掛けたと発表。「民間人の虐殺」に対して行動を起こしたと主張した。

ロケット弾による攻撃で身を隠す人たち

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この攻撃による負傷者は報告されていない。しかし、ハマスが依然としてイスラエル各地の人々を脅かす存在だと、明確になった。

ハマスの今回の攻撃はまた、イスラエル軍がさらにガザ南部へ進軍するにあたり、困難に直面することも示した。同軍はハマスの「最後の主要拠点」からハマスを掃討するとして、南部で行動を続けている。

イスラエルとハマスは来週、停戦交渉を再開する予定となっている。

イスラエルは3週間ほど前、ラファに残っているハマスの大隊を壊滅させるとして、以前から予想されていた同市への攻撃を開始した。イスラエルは、ラファではイスラエル人の人質が拘束されているとみている。

国連によると、ラファへの攻撃が始まってから80万人以上のパレスチナ人が同市から避難している。ラファにはガザの他の場所の戦闘から逃れた約150万人が避難していた。

イスラエルによるガザでの軍事作戦は、ハマス率いる武装集団が昨年10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、252人を人質としてガザに連れ帰ったのを受けて始まった。

ハマス運営のガザ保健当局は、それ以来、3万6000人近いパレスチナ人が殺害されたとしている。