ラフィ・バーグ BBCニュース
イスラエルの国会は24日、政府に対する裁判所のチェック機能を弱める法案を可決した。法案は国民の強い反発を招き、可決を阻止しようと大規模な抗議行動が起きていた。
今回の法案は、最高裁判所が不合理と判断した政府の行為を、無効にできないようにする内容となっている。
イスラエルでは、裁判所の権限を縮小しようとする改革が、激しい議論を引き起こしている。今回の法案は、そうした一連の司法改革の中で最初に可決された。
この改革をめぐってイスラエルでは、過去最大規模の抗議行動が起きている。反対派は、民主主義国家としてのイスラエルを危うくすると訴えている。
政府は、権力の不均衡を正すために必要な措置だと主張。ここ数十年、裁判所が政治判断への介入を強めてきたとしている。
大統領は「非常事態」と警告
「合理性」法案と呼ばれる今回の法案は、賛成64、反対0で可決された。野党は最終投票をボイコットした。
野党指導者のヤイル・ラピド氏はクネセト(国会)で、この動きを「イスラエルの極端な少数派が、多数派を乗っ取った」と批判した。
一方、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、裁判所の独立性は保たれると主張。「国民の多数派の決定に沿った政策を遂行する」ため、必要な法案だと述べた。
この日の可決で、長期の混乱は必至だ。イツハク・ヘルツォグ大統領は政治指導者らに対し、イスラエルが「国家非常事態にある」と警告した。
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国会前ではこの日の朝、太鼓や笛、警音器などの音が鳴り響くなか、大通りを封鎖していた抗議者たちが警察の放水を浴び、道路から排除された。
現地メディアによると、抗議者1人が負傷した。警察は6人を拘束したとしている。抗議者らは警察車両を取り囲み、警官に向かって「恥を知れ」と声を張り上げた。
路上に横たわっていた男性抗議者は、「独裁」に立ち向かっているとBBCに説明。いつまでとどまるのかとの問いには、「私たちは決して折れない」と答えた。
女性抗議者のロイト・イーファト・ウジールさんは、自分の子どもたちの将来が不安だとし、「ネタニヤフはこの国を乗っ取った。神権政治の国になるのではないか、心配している」と述べた。
抗議者らのうち数万人は先週末、テルアヴィヴからエルサレムまで約70キロをデモ行進し、国会と最高裁の間の公園にキャンプを張った。
ネタニヤフ首相は22日、予定外のペースメーカー手術を受けた。退院から数時間後、この日の国会での法案採決に臨んだ。
今回の司法制度改革はイスラエルを二分しており、同国で最も深刻な危機を引き起こしている。
数十万人もが民主主義への攻撃だと抗議し、今年初めから毎週、街頭でデモを繰り返している。政府は、この改革で民主主義が強くなると主張。最高裁について政府は、ここ数十年で政治に対する影響力が強大になりすぎたと批判している。
イスラエルの攻撃力と防衛力に不可欠な役割を担う空軍パイロットを含む数千人の予備役が、兵役に志願しないと宣言したことで、今回の危機はいっそう混迷が深まっている。こうした抗議行動は過去に例のないもので、イスラエルの軍事即応性への潜在的な影響が懸念されている。
イスラエルの元治安当局トップ、元最高裁長官、法曹・ビジネス分野の著名人らも、政府の改革に反対の声を上げている。
アメリカのジョー・バイデン大統領も、今回の改革を批判している。これまでで最も明確なコメントでは、「分断を招く」改革は延期すべきだと求めた。
2023-07-25 03:24:57Z
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