ロシア軍、ウクライナ各地に大規模ミサイル攻撃(写真=ロイター) - 日本経済新聞
【パリ=北松円香】ロシア軍は現地時間29日朝、ウクライナ全土への大規模なミサイル攻撃を実施した。同国政府高官や軍当局がSNS(交流サイト)を通じて明らかにした。一部は迎撃に成功したもようだが、電力関連などのインフラ設備に被害が出ており、停電が発生している。
ポドリャク大統領府長官顧問のツイッターの投稿によると、ロシア軍による29日のミサイル攻撃は「120発超」。空軍はフェイスブックで、撃ち込まれたミサイル69発のうち54発を迎撃したと説明した。
ロイター通信が当局者のSNS(交流サイト)発信などをまとめたところ、首都キーウ(キエフ)では民間の住宅などが損傷、3人が負傷した。西部リビウでは市の9割が停電した。南部オデッサでもミサイルの破片で住宅に被害が出ている。
ベラルーシ国営のベルタ通信によると、同国領内にウクライナのミサイルが着弾した。けが人はいないという。
ロシアは10月以降、インフラを標的にした大規模なミサイル攻撃を繰り返してきた。ウクライナのクレバ外相は「愚かな蛮行だ。新年を前に平和的な都市に多数のミサイルを撃ち込んだ」と非難した。
ゼレンスキー大統領は28日、最高会議(議会)に向けた演説で2月のロシアによる侵攻開始以降、捕虜1456人が帰還し、占領された1800を超える町や村を解放したと明らかにした。「ロシアが2014年に不法に併合したクリミアやドンバスに普通の暮らしを取り戻す」と述べ、抗戦継続の姿勢を示した。
大量の軍事支援を提供している米国とは「真の同盟関係にある」とした。訪米後に実現した地対空ミサイルシステム「パトリオット」の供与について「1年前なら不可能に思えただろう」と指摘した。欧州連合(EU)加盟交渉にも意欲を示した。
ウクライナ国防省の情報機関トップ、キリロ・ブダノフ氏は英BBCが29日に公開したインタビューで、戦況が膠着状態にあるとの見方を示した。ロシア軍が多大な損失を受けて「完全に行き詰まっている」一方で、ウクライナ軍も物資不足だとした。「我々は新たな武器の到着を心待ちにしている」と述べた。
米シンクタンクの戦争研究所は28日発表した戦況分析で、激しい戦闘が続く東部ドネツク州の要衝バフムトで「ロシア軍による攻撃はピークを過ぎたようだ」との見方を示した。ロシア軍は損失が膨らみ、小部隊での行動を強いられているとした。
ロシアのラブロフ外相は29日に公表された国営ロシア通信とのインタビューで、ゼレンスキー氏が提案している和平案について「ウクライナに対話の用意がないのは明らかだ」と述べ、改めて拒否する考えを示した。
ゼレンスキー氏は11月中旬にインドネシアで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、ロシア軍の全占領地からの撤退など和平に向けた10項目を提案していた。
ラブロフ氏はインタビューで「ゼレンスキー氏は幻想を抱いている」と主張し、「我々はこうした条件では誰とも話をしない」と反発した。
ロシアのペスコフ大統領報道官は29日、プーチン大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との協議が30日に開かれると記者団に述べた。オンライン形式で開催し、主に2国間関係について意見交換するとしている。
ペスコフ氏は「ロシアと中国周辺での喫緊の問題について議論することは非常に重要だ」と述べた。長期化するロシアのウクライナ侵攻や、中国が軍事的圧力を強める台湾情勢について意見を交換するとみられる。ペスコフ氏はまた、両国の経済連携の拡大についても触れるとの見通しを示した。
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2022-12-29 12:04:03Z
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